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第201回 木 (その1)

この家に移ってきたのは1986年の秋でした。ずっとアパート住まいでしたので庭のある家ということだけでもう興奮してしまいました。でもそのときはまったくガーデニングに対し知識も興味もなかったのでした。不思議なもので、庭を持ったとたん、いろいろなことが気になりだしたのです。まず庭の木が多すぎること。木は大きくなるのにそれなりのスペースが必要なわけですが、その調整がされていなかったので(木と木の間隔が充分でない)、病気になったり、弱ったりしている木がたくさん見つかったのです。

そこで、庭に関してはまず木を減らすことから始めなくてはなりませんでした。ところが、これが大変な仕事。斜面で特殊な木を切るトラック(消防車のように伸びちぢみするはしごがついている)をいれることができませんから、木を昇って少しずつ枝を切ってくれるツリーマン(木を切る人)を頼まなくてはならなかったのです。そしてそれにかかる費用が、、大変なのでした。 とにかく枝を切るといってもその枝自体がかなり育った木のような枝ですから、ロープを向こうの木に渡して、ああして、こうしてとロープをかけ枝を電動鋸で切るとロープを操りながらするすると枝を地面におろすことができるのです。これは職人芸です。

 続きは、次回に。

6/06 2002

第202回 木 (その2)

そんなわけで、この家に移って3年くらいは庭に関しては木を切ること、雨がふると水が泥をけずって流れていってしまうので、水のルートをきちんすることであけくれました。大きな木が庭にあると季節の移り変わりがはっきりと感じられます。まず第一に秋の落ち葉の季節、そして春の芽吹き、そして花が咲く頃になりますとそれが一層はっきり感じられます。生きている木の存在をひしひしと感じます。

広い荒野に一本ずつ充分なスペースを得て育っている木をみますと、本当に伸び伸びと枝を伸ばして美しい姿をしていますね。子供のころ木を描くときもきれいな形の木を描いたものでした。残念ながら我家の庭の木は充分な間隔がとれないまま育ってしまい、ちょっと枝が片寄った伸び方をしている木が目に付きます。でも10本以上もの木を切ることで、一応いいであろう間隔を与えらたと思います。そしてできた空間につつじや、あまり大きくならないハナミズキを植えて自然な状態を維持しています。落ち葉はそのまま堆肥になるように。

6/19 2002

第203回 視線

本当に暑い毎日が続いています。 このところ二日ばかり夕立が来てくれたので水遣りはしなくていいので助かっていますが、鳥の水場は一日に2回水を取り替えてあげなくてはなりません。雨がなかった2,3週間の間、区画を区切って水遣りをしたのですが、家の前の植木に水をやっているときにどうも視線を感じるのです。地面が熱くなっていますし、太陽はギラギラ照っていますから水をあげると植木が本当に嬉しそうに見えるのです。

そしてそのとき感じる視線はどこから来るかと申しますと、、。 これはあくまでも気配なのですが、周りのお宅の植木の視線なのです。我家の植木がシャワーをあびてフーッと一息ついてリフレッシュしているのをなんだかとても羨ましそうに見ているように感じるのです。だからといって隣近所の植木に水をあげるわけにはいかないので、「ごめんね」と言ってその場を去るのです。

6/12 2002

第204回 イリテーション

前庭の大きな木にリスが巣をつくって住んでいます。そしてそのリスはときどき木をおりてきて水をのんだりドングリを拾ったりして生活しているのですが、前庭には5匹の外猫の縄張りでもあります。アフリカなどでもお腹一杯になっている食肉獣はわかるので草食動物などはそんなときは安心して草を食んだりしているようです。おなじように、猫が5匹もいても彼らの状態が分かるらしくリスは平然と下りて来て自分の用事をしています。

そして猫がリスに気がついて襲う構えをみせ始めたときリスは知らない振りしているようで実はしっかり安全距離を保っているようです。安全距離を保っていさえすれば襲われないというのを承知しています。そして見ていますと安全距離範囲では、猫にちょっかいだしてみたり、捕まえられるものなら捕まえてみろ、といわんばかりの動作(しっぽをユサユサ振る)をして猫をイリテートするのです。動物にも相手をわざとイラだそうとする感情があるようです。

6/24 2002

第205回 ブルース

ブルースという音楽のジャンルは日本ではどうでしょうか。ジャズなら愛好家がたくさんいらっしゃると思います。ブルースはミシシッピのデルタが発祥地。黒人の魂に語りかけるような音楽です。観光案内では絶対にわからないような田舎の片隅にこれもまた壊れかけたような家が建っていてそこに今でも定期的にブルースを演奏する人たち、そしてそれを聞く人たちが集まっているようです。

私達がいつも頼む大工さんの息子さんはこのグループに入っていて白人の若者でありながらハーモニカを黒人のブルースのミュージシャンと演奏しているのです。歳いった黒人のブルースのミュージシャンはこの若者(シド)をとても可愛がってくれているようです。シドはいつか自分のブルースのCDを出すのが夢だとのことです。いつか彼の演奏を聞きに行こうと思っています。

6/26 2002

第206回 南部の夏の風物詩

ちょっと昔の日本でしたら、蚊取り線香、風鈴、すだれ、すいか、うちわ、かき氷などあげられますね。 こちらでは、風鈴の変りにウィンド チャイム(長いスチールの筒が何本も糸でさげられ、真中に木や金属の筒を打つちいさな物が同じく糸でさがっていて、微風があるとなんとも静かな音を奏でてくれます。すいかはあります。それも楕円形の日本のスイカの2,3倍くらい大きなもの(甘いですよ)。そして蚊取り線香の代わりに虫除けのキャンドル。庭でバーベキューがよく行われますからキャンドルといってもブリキの小さなバケツにめいっぱいはいったキャンドルです。

かき氷はスノーコーンといってアイスクリームのように円錐形の紙筒にかき氷をボールの形にしてのせてシロップをかけてくれます。でもやはりガラスの器に入ったかき氷(氷あずき)を団扇で扇ぎながらたべて頭にキーンとくるあの感じは最高ですね。すだれはありませんが、夏にはポーチが縁側代わりになってすずしい陰をつくってくれます。ロッキングチェアにゆられながら友達とおしゃべりするのはいいものです。南部の夏はなんとなくひと昔の日本のような感じがいたします。

6/27 2002

第207回 品質保証

メールオーダーのカタログを見ていましたらメールボックスのところに品質を保証する為に行った四つのテストが写真入りで載っていて、さすがアメリカ、と思いました。無期限保証とサブタイトルがついており、以下が四つのテスト項目です。

こんなに頑丈なメールボックスが本当に必要なのかと思ったのですが、品質の確かさはこれで信じられる思いがしました。他にもメールオーダーやテレビショッピングなどでは30日テスト期間をとり、その間満足できなかったら返品していただければ、支払い金額はお返ししますという但し書きがほとんどの品物についてきます。しかも化粧品など消耗品に関しては残りの分を返品することになっています。
日本ではどうでしょうか。

7/01 2002

第208回 水浴び

野鳥の水浴び場は3箇所にあり、大きめな植木鉢の下にしく受け皿がちょうどいい深さとなり利用しています。タラコッタの皿ですと夏でも水の温度がそう上がらないという利点もあります。夏場は一日に水を3回いれてあげなければならない程利用鳥が多いのです。何度も来て知っているはずなのに、お皿の縁に止まって、恐る恐る顔をちょっとつけてみたりしていますが、なかなか水浴びの体勢にはいらず、見ていて焦らされます。

でも一羽が思い切って水に入り水浴びを始めるやいなや他のとりたちも続いて多い時はそれこそぎゅうぎゅう詰の状態です。羽をばたばたして水は四方八方に飛び散りますからすぐに水がなくなってしまうのです。気が付いたらまた水を替えてたしてあげますが、夏はながく、ずっと彼らを監視するわけにはいきません。だからといって、深めの入れ物を使いますととたんに彼らは水浴びをしなくなってしまうのです。水の深さはとても重要みたいです。

7/03 2002

第209回 ヴァイラス、その名はチビ

おじじ様のアドバイスで、ここのところヴァイラス(アメリカではヴァイラスと言います)がまた活発化しているとのことですが、私も今日驚くようなことが起こり慌ててしまいました。インターネットを操作していたら、急に画面がかなりの速度で下降し止まらないのです。そして左上の見ているサイトのアドレスがピピピと点滅しています。なんだか警戒態勢で潜水艦でしたら警報が鳴っているような事態です。「どうしよう!」と慌ててシャットアウトしようかと思い、まず回線の接続をオフにしました。

そして画面の点滅がなくなったので、ちょっと安心して、『いったい何が起こったのだろう』と調べてみました。もう一度回線をONにしてみたら、今度は私の送信済みのメールが全て文字化けしています。受信メールはOKでした。なんだか大事件が起こったようだと気持ちが引き締まりました。真剣に画面を見つめいろいろ考えながらふと左下を見ると猫のチビがキーボードを枕にスヤスヤ寝ているではありませんか。そしてチビの頭がキーを押していたのです。まったく冷や汗がでました。

7/05 2002

第210回 天地異変?

アメリカだけでなく、世界で様々な異変が起きています。異常気象、水害、干ばつなど。毎年いろいろなところで天災による被害が報道されています。異常気象は今日も報道されていました。ニューヨークやボストンの気温が私達のミシシッピよりも高く、加えて湿度も高くかなりの不快指数があげられているようです。電気屋さんでは店の前にエアコンが山積みされており、かなりの売れ行きだそうです。本来ニューヨークあたりではエアコンがなくても生活できるわけなのです。

起こるべきにして起きている異変なのでしょうか、それとも人間が加えた環境破壊や環境変化によって生じた異変なのでしょうか。いろいろな意見がとびかっていてこれだというはっきりした意見はなく、様々な要因が関わっているようです。きっと公には報道されていない情報のなかにはもっと恐ろしい事実があるのではないかと思います。これから地球はどうなっていってしまうのでしょう。こう考えると、なんだか自分の存在がほとんど無になってしまいます。

7/08 2002

第211回 釣りの情景

釣りはしたことはありませんが、何故か今まで出会った映画での釣りのシーンはとても心に残っています。こんなこと言うとしかられてしまうかもしれませんが、やはり釣りは男の人のほうが合うような気がします。一番印象にあるのはジャック レモンとウオルター マッソーの映画で二人が釣りをするシーンがたくさんでてくるのですが、釣りをしながら交わされる会話の面白さ、男同士のやりとりに触れ、これだな!と思いました。

老人が一人静かに釣り糸を垂れているシーンもジ〜ンとしてきます。老婆が一人釣り糸を垂れるイメージは浮かんできません。そんなときこの老人は糸を垂れながら何を思っているのでしょう。釣りの面白さは魚が釣れることのほかに魚がかかるまでの時間にもあるのではないかと。そしてあんまり釣れすぎるよりも、やはりじっくり待って釣れるほうが趣があるのではないでしょうか。釣りは一人もしくは二人、多くて三人くらいでやるようですね。ゆっくりと時が流れるようなイメージを感じます。

7/10 2002

第212回 ドアにまつわる事件

今日はドアにまつわる事件が多発してしまいました(といっても2件)。まず、朝アライグマのいたずらから守る為に軒下に移しておいたハミングバードのシロップをいつもの場所にかけようと裏庭の開きドアを開けて外に出ました。このドアは用心の為、夜つっかえ棒を置いているのですが、私がシロップをつるしているとき、カチャッという音がして、何の音だろうと思ったら、猫のタマがつっかえ棒にじゃれて棒がロックの位置に落ちてしまったのです。

夫は出張中、どの窓もドアも鍵がかかっています。ヒヤッとしましたが、ご心配なく。隣のヒルダにスペアキーを預けてあるのです、このような時のために。もう一つは、夫の車も使っておこうと今日スーパーに行って買い物しガレージに車をいれて内側からドアを開けようとしたら、トッテがとれてしまいました。窓を開けて外側からドアをあけて脱出しましたが、夫の出張中に事件はいろいろと起こるようです。

7/12 2002

第213回 徐行願います

外猫四銃士とママキャットの合計5匹はほとんど自宅の前のドライブウェイに横になって暑さをしのいでいます。めったに人がこない、また私達も車で外出したり帰宅する時は彼らに注意して徐行しますのでいいのですが、このごろあまりの暑さに動くのも面倒なのか、私達が止まるものと思い込んでいるようで、クラクションをならすとやっとこさ起きて、私達の顔をなんだかうらめしそうに横目でみながら、端のほうに移動していきます。

この状態ですと、ガスや水道のミーター(英語ではメーターでなくミーターとなるようです)を計る人が急いでトラックなどであがってきたら、ひかれてしまうことも充分ありえます。予行演習をしておくべきかちょっと考えています。ちょっと注意して見ていましたら、どうも夫と私の車はきちんと見極めているらしく、他の車がくるとさっさと早めに移動しているようなので、ちょっと安心しました。

7/15 2002

第214回 これは、ちょっと

日本に帰ったとき、よく思うことに道を走るくるまがとてもきれいにメインテナンスされていて、傷んだ車が走っているのはみかけません。車検制度がきちんとしているためなのかもしれませんね。アメリカでは「これは、ちょっと・・・」と思わせる車が結構元気に走っています。その折々に写真でもとってお見せできたらと思うのですが、こちらも運転中ですし、ハプニングですからうまくいきません。

バンパーがぶつかってへこんでいるくらいならまだ気になりませんが、落ちかけていたり、ウィンドウにガラスがなく、ビニールをガムテープで止めてあったり、前の横がパックリあいて中が見えていたりする車に出会うこともあります。このような車が日本を走っていたらどうなるのでしょうか。いままでは保険は義務付けられていませんでしたが、去年でしたか必ず保険に入らなければならない制度に変りました。車社会のアメリカ、車に関する話題もいろいろあります。

7/17 2002

第215回 深刻な問題たち

最近核廃棄物をアメリカのネバダ州のある地域に廃棄することが決まり今論議を呼んでいます。ナショナルジオグラフィックがタイムリーに一ヶ月くらい前にこの核廃棄物がどのように現在管理されているかという特集を組んで写真が載っていましたが、なんだか現実とは思えず、サイエンスフィクションの映画のシーンのように見えました。電力の使用は益々多くなっていっており、原子力発電に頼らなければならない現実には深刻な問題があるわけですね。

それと、大量に使われている化学肥料が水と混ざり私達の飲料水はもちろん自然界のバランスにも大きく影響しているようです。科学の進歩によって昔はプラスになるものが多かったようですが、次第にプラスとマイナスが同じくらいになって近年ではどちらかというとマイナスの部分のほうが高くなってきているような気がしてきました。食品添加物、様々な薬、農作物の生育用に改良された肥料などは化学の産物。化学と自然のバランスはどうなっていくのでしょう。

7/19 2002